「ホームページの見た目が古くなった」「スマートフォンで読みにくい」「更新を頼むたびに費用がかかる」。そんな理由から、長く使ってきたホームページサービスの乗り換えを考える塾は少なくありません。

ただし、ここで最初にしてはいけないのが、現在のサービスの解約です。レンタル型のホームページサービスでは、ページや記事、写真が事業者のサーバーに保存されています。先に解約すると、それらを取り出せなくなったり、ホームページそのものが表示されなくなったりするおそれがあります。

乗り換えで大切なのは、どこに依頼するかだけではありません。これまで積み上げた記事、ドメイン、メールアドレスを守れる順番で進めることです。専門知識がなくても確認できるように、一つずつ説明します。

なぜ「先に解約」が最悪の一手なのか

レンタル型のホームページは、家にたとえると「土地と建物を借りている」状態です。文章を書き、写真を載せたのは塾自身でも、データが置かれているサーバーや更新画面はサービス会社が管理しています。契約が終われば、管理画面に入れなくなり、サーバー上の記事や写真が削除されることがあります。

10年運営している塾で、記事が100本を超えていても不思議ではありません。授業への考え方、定期テスト対策、受験情報、卒業生の声など、長年書き続けた内容は、単なる過去の記録ではありません。検索結果に表示されてきた実績や、外部サイトから張られたリンクがある、塾の情報資産です。

元の記事が消えると、文章を新サイトへコピーするだけでは元どおりになりません。古いURLを訪れた人はページを開けず、検索エンジンにも記事の移転先を伝えられないからです。写真の元データが手元になければ、復元できない場合もあります。

解約前には、少なくとも次のものを保存します。

  • 固定ページとブログ記事の本文
  • 掲載している写真、PDF、バナーなどのファイル
  • 現在公開されている全ページのURL一覧
  • ページタイトルと説明文
  • 問い合わせフォームの通知先と過去の受信記録
  • アクセス解析と検索状況の記録

「新サイトに必要な記事だけ選ぶ」のは、すべて保存した後で構いません。消してから必要性に気づくより、先に退避しておくほうが安全です。

ホームページを乗り換える正しい順番

ホームページ乗り換えの正しい順番。1新サイト公開、2旧URLから転送、3移行の確認、4解約。解約は必ず最後

安全な乗り換えは、次の4段階で進めます。

  1. 新サイトを作り、内容を確認して公開する

旧サイトが見られるうちに、ページ、記事、写真を新サイトへ移します。問い合わせフォーム、スマートフォン表示、料金、電話番号なども公開前に確認します。

  1. 旧URLから新URLへの転送を設定する

転送は「リダイレクト」と呼ばれる仕組みです。たとえば、旧サイトの「定期テスト対策」のURLを開いた人を、新サイトの同じ記事へ自動で案内します。すべてをトップページへ送るのではなく、古いページと新しいページを一対一で対応させるのが基本です。恒久的な移転では「301リダイレクト」を使います。

  1. 検索結果とアクセスの移行を確認する

新しいページが検索結果に出ているか、旧URLへのアクセスが新URLへ届いているかを確認します。Google Search Consoleやアクセス解析を使うと、どのページの移行が遅れているかも分かります。検索結果の切り替わりには時間がかかり、一時的に順位が動く場合もあります。

  1. 移行を確認してから旧サービスを解約する

新サイトの表示、転送、問い合わせ、検索状況に問題がないと分かって初めて、旧サービスの解約へ進みます。

Googleは、URLが変わる移転では転送をできるだけ長く、目安として少なくとも1年間維持するよう案内しています。したがって、解約日だけでなく「解約後も転送を残せるか」を契約前に確認することが重要です。旧サービスを止めると転送も消える契約なら、その条件を踏まえて移行期間を設計する必要があります。

ドメインは誰の名義かを最初に確認する

ドメインとは、ホームページの住所にあたる「○○.jp」や「○○.com」の部分です。同じドメインを使い続けられるかどうかは、現在どこでホームページを作っているかではなく、ドメインの登録者が誰かで決まります。

確認には「whois検索」を使います。whoisとは、ドメインの登録情報を調べる公開の仕組みです。現在は後継の「RDAP」という方式で表示されることも増えていますが、一般にはまとめてwhois検索と呼ばれています。検索サイトで自塾のドメインを入力し、結果の「登録者」「Registrant」などの欄を見ます。なお、「Registrar」は登録手続きを扱う会社のことで、ドメインの持ち主とは限りません。

登録者が塾または運営会社の名義なら、管理会社を変更する「ドメイン移管」の手続きをして、同じ住所を使い続けられる可能性が高いです。ただし、移管の承認方法、期限、解約との前後関係はサービスごとに異なるため、先に規約と手順を確認します。

一方、登録者がサービス会社の名義で、塾へ移せない契約なら、新しいドメインが必要です。この場合は、旧ドメインから新ドメインへの転送をサービス会社に依頼し、転送期間をできるだけ長く取ります。転送できるか、解約後も維持できるかは、必ず書面やメールで確認してください。

登録者情報が非公開になっている場合もあります。そのときは表示だけで判断せず、契約書、ドメイン更新の請求書、管理画面を確認し、現在の事業者へ「登録者名義」「移管の可否」「必要な認証情報」の3点を問い合わせます。

ドメインと同じメールアドレスも止めない

「info@塾のドメイン」のようなメールを使っている場合、ホームページだけを切り替えるつもりでも注意が必要です。メールの配送先は、ドメインの「MXレコード」という設定で決まります。ドメインやDNSの管理先を変えるときに、この設定を移し忘れると、ホームページは表示できてもメールだけ届かない状態になりかねません。

まず、利用中のメールアドレス、転送先、問い合わせフォームの通知先を一覧にします。次に、新しい環境へ同じメールボックスを先に作り、必要なら過去のメールを移します。DNSの管理先を変える場合は、MXレコードに加え、迷惑メール判定を防ぐためのSPF、DKIM、DMARCなどの設定も控えて、新しいDNSへ用意します。

メールサービス自体を切り替える場合は、新しい受信箱で送受信できることを確認してからMXレコードを変更します。切り替え直後は、送信元によって旧受信箱と新受信箱のどちらかに届くことがあるため、旧メールサービスもすぐには解約しません。外部のメールアドレスからテスト送信し、返信、問い合わせフォームからの通知、迷惑メールフォルダまで確認します。数日間は両方の受信箱を確認し、受信が新しい環境へ移ったことを確かめてから旧環境を止めます。

まとめ 作り直すときこそ、塾の資産を棚卸しする

ホームページの乗り換えは、「古いものを消して、新しいものを作る」作業ではありません。正しくは、これまで積み上げた資産を確認し、次の環境へ引き継ぐ作業です。

順番は、新サイトを公開する、旧URLから転送する、検索結果とアクセスの移行を確認する、それから解約する。その前提として、ドメインの名義とメールの使われ方も確認します。この順番を守れば、ホームページが見られない期間や、問い合わせメールを受け取れない期間を作るリスクを大きく減らせます。

「見た目が古いから作り直したい」と思ったときは、実は資産の棚卸しに最適なタイミングです。長年の記事、保護者に読まれているページ、残したい写真、今後も使うドメインを一度一覧にしてみてください。新しいデザインに変えるだけでなく、塾が積み上げてきた信頼を、次の10年へ持っていくリニューアルになります。

この記事は塾にどう効くか

順番は「新サイト公開 → 旧URLから転送 → 移行の確認 → 解約」。先に解約すると、記事や写真がサーバーごと消えるおそれがあります。ドメインが自社名義かサービス名義かで段取りが変わるため、whois検索での確認が最初の一歩です。

保護者への説明材料になるか

保護者向けというより、塾長ご自身の実務チェックリストです。制作会社に見積もりを取る前に、ドメインの名義とメールの使われ方の2点だけでも確認しておくと、業者との話がぐっと具体的になります。

指導・カリキュラムへの影響

指導内容には影響しません。ただし、問い合わせメールが止まる期間を作らないことは、体験申込みを取りこぼさないという意味で募集活動に直結します。講習前の繁忙期を避けて切り替えるのが安全です。

発信のネタとして使えるか

「ホームページをリニューアルしました」というお知らせは、旧URLからの転送が済んでから出すのが安全です。順番を守れば、せっかくの告知が「ページが見つかりません」に飛ぶ事故を防げます。

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