2026年6月18日、文部科学省の中央教育審議会「教育課程部会 外国語ワーキンググループ(第13回)」で、次期学習指導要領に向けた「外国語WG取りまとめ案」が配付されました。

今回の資料は、単に「中学英語が難しくなる」「AIを英語教育に使う」という話ではありません。
一番大きいのは、2030年前後の学習指導要領で、英語を何のために学ぶのか、そして小学校・中学校・高校の英語をどうつなぐのかという設計思想が変わろうとしている点です。
本記事では、「学習指導要領の英語はどう変わるのか」「中学校英語や高校英語にはどんな変更点があるのか」「AI時代でも英語を学ぶ意味はあるのか」といった、教育関係者や保護者が気にしている論点に沿って、重要ポイントを整理します。
検索でこの記事にたどり着いた方のために、最初に結論を置いておきます。
今回の資料は、最終決定ではなく、外国語ワーキンググループの取りまとめ案です。
英語が単純に「簡単になる」「難しくなる」という話ではありません。
中学校英語では、語彙・文法の精選、小学校英語との接続、話題の難易度の見直しが重要論点です。
高校英語では、英語力が高い生徒の必履修科目の免除・振替も検討されています。
AI英語教育は、英語を不要にする方向ではなく、発話・添削・反復・自己調整学習を支える方向で位置付けられようとしています。
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学習指導要領の英語はいつから変わる?今回の資料の位置づけ
今回の中心資料は、文部科学省「外国語WG取りまとめ案」です。

これは、次期学習指導要領に向けて、外国語教育をどう改善していくかを整理した資料です。現時点では最終決定ではなく、あくまでワーキンググループの取りまとめ案として読む必要があります。
ただし、今後の英語教育の方向性を見るうえでは非常に重要です。
今回の資料から見える変更点は、大きく5つあります。
AI時代に英語を学ぶ意味を再定義する
中学英語の語彙・文法を精選し、小中接続を見直す
「言語活動」を2つの活動に整理する
AI活用と5領域評価を学習・評価に組み込む
高校英語では、英語力が高い生徒の履修免除・振替も論点になる
1. AI時代に、なぜ英語を学ぶのか
最初のポイントは、AI時代に英語を学ぶ意味の再定義です。

生成AIや翻訳ツールが発達すると、「AIがあるなら英語を学ぶ必要はないのではないか」という疑問が出てきます。実際、学校や家庭でも、AIと英語学習をどう考えるべきかは大きな関心事になっています。
しかし、今回の取りまとめ案は、英語が不要になるという方向ではありません。

むしろ、AI時代だからこそ、外国語を学ぶ本質的意義を再整理する必要があるとしています。
資料では、外国語を学ぶ意味として、異なる言語・文化への理解、自分の考えや意見の形成、多様な他者との直接的な意思疎通などが示されています。
つまり、英語教育の目的は、単に英文を日本語に訳すことではありません。
AIが翻訳してくれる時代だからこそ、自分は何を考えているのか、相手にどう伝えるのか、AIの出力をどう判断するのかが重要になります。
ここが、2030年の英語教育を見るうえで最も大きなポイントです。
中学校の学習指導要領で英語はどう変わる?中学英語が難しい理由
保護者や塾関係者にとって、最も気になるのは「中学英語が難しい」という問題だと思います。

保護者や塾の現場でも、「中学英語が急に難しくなった」「小学校で英語をやっていたのに中1でつまずいた」という声は少なくありません。
今回の資料でも、この問題はかなり正面から扱われています。
現行の英語教育では、語彙数が大幅に増えた一方で、指導すべき語彙の選定基準や具体的なリストが十分に示されていないため、教科書ごとに扱う語彙にばらつきが生じているとされています。
また、中学校では、教科書で扱う話題が高度化し、難易度の高い語彙が増えています。さらに、小学校で扱った語彙を、中学校で読み書きできるようにする必要があり、指導や学習の負荷が上がっているという指摘があります。

ここで重要なのは、「英語を簡単にする」という話ではないことです。
今回の方向性は、英語を昔に戻すのではなく、子どもが本当に使える英語力を身につけるために、語彙と文法を精選し、焦点化するというものです。
資料では、語彙選定のための基盤語彙リストを作成し、教科書で使用することを推奨する方向が示されています。また、語彙の難易度や使用頻度を踏まえ、指導すべき語彙数は精選を含めて見直すとされています。
文法についても、中学校の文法事項のうち使用頻度の高いものを本文で具体的に明示し、指導対象の焦点化、難易度の適正化を図る方向です。
つまり、中学校英語の変更点として押さえるべきなのは、単に「単語数が増えるか減るか」ではありません。
どの語彙を優先して扱うのか、どの文法を確実に使えるようにするのか、小学校で触れた英語を中学校でどう読める・書ける英語に接続するのか。ここが、次期学習指導要領の英語を読むうえで重要になります。
3. 小学校英語と中学英語の接続が、今後ますます重要になる
現在の英語教育で大きな課題になっているのが、小学校英語と中学英語の接続です。

小学校では、音声を中心に英語に慣れ親しみ、5・6年生から読むこと・書くことも加わります。一方で、中学校に入ると、小学校で扱った語句や表現が「既習」として扱われる場面が増えます。
しかし、「聞いたことがある」「話したことがある」ことと、「読める」「書ける」「テストで使える」ことは同じではありません。
ここに、中1英語でつまずく大きな理由があります。

親御さん世代の中学英語は、be動詞から始まり、一般動詞、三単現、過去形と、比較的ゆっくり積み上げていく感覚がありました。
しかし、現在の中学英語は、小学校で英語に触れてきたことを前提に、語彙も文法も英文量も早い段階から増えています。
今回の取りまとめ案では、校種間の接続・連携の観点から、各学校段階で確実に身に付けさせるべき事項と、前の学校段階との接続のために重点を置いて指導すべき事項を、より具体的に示す方向が示されています。
これは学校だけでなく、学習塾にとっても重要です。
中学準備講座や小学生英語では、「先取り」だけでなく、小学校で聞いた・話した英語を、中学校で読める・書ける英語に接続することが求められます。
4. 「文法か会話か」ではなく、2つの活動を往還する英語へ
これまで英語教育では、「文法中心では話せない」「会話ばかりでは文法が身につかない」という議論が繰り返されてきました。

しかし、今回の資料で示されている方向は、その二択ではありません。
取りまとめ案では、外国語の学習過程を2つに整理する方向が示されています。
1つ目は、「コミュニケーション活動」です。
これは、コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、英語を聞く・読む・話す・書く活動です。主に、思考力・判断力・表現力等を育てる活動です。
2つ目は、「コミュニケーション活動を支える活動」です。
これは、音声、語彙、表現、文構造、文法などを理解し、活用できるようにする活動です。主に、知識・技能を育てる活動です。
大事なのは、この2つを分けて終わりにしないことです。
英語で伝え合う活動を行い、そこで必要になった語彙や文法を学び直し、また実際のコミュニケーションに戻す。この往還が、次の英語教育の中心になっていきます。
つまり、これからの英語教育は「文法か会話か」ではありません。
文法や語彙を学び、それを使って伝え、伝える中でまた必要な知識に戻る。この設計が重要になります。
高校の学習指導要領で英語はどう変わる?履修免除・振替という論点
高校英語についても、今回の資料には重要な論点があります。

検索語としても「高校英語 学習指導要領」「学習指導要領 英語 高校」「新学習指導要領 高校 英語 ポイント」といった語が確認できました。
取りまとめ案では、英語力が高い生徒について、高校の必履修科目を免除・振替する仕組みが検討されています。
具体的には、科目免除を認める際に必要な英語力は、CEFR B2レベル相当以上とする方向が示されています。
ただし、これは「英語ができる子は英語をやらなくてよい」という制度ではありません。
免除した科目の時間を、発展的な英語学習、英語以外の外国語、学校設定科目、上位科目、大学の授業、専門機関の講座、海外サマースクールなどに振り替えることが想定されています。

つまり、高い英語力を持つ生徒には、より高度な学びに進む選択肢をつくるということです。
塾の視点で見ると、中学段階でどの水準を目指すのか、高校入学後にどのような学びにつなげるのかという戦略にも関わってきます。
入試・通知表・塾指導への影響
今回の資料だけで、入試や通知表がすぐに変わると断定することはできません。

ただし、波及は十分に考えられます。
まず入試です。語彙・文法の焦点化、CEFRを参照した話題・活動の見直し、5領域評価、AIを活用したパフォーマンステストツールの可能性などが議論されれば、定期テストや高校入試、大学入試でも、英語を使って理解し、表現する力をどう見るかが引き続き重要になります。
次に通知表・評価です。外国語では、引き続き5つの領域で評価することが重要とされています。
5領域とは、聞くこと、読むこと、話すことのやり取り、話すことの発表、書くことです。

一方で、評価のプロセスは再整理される方向です。国が「内容のまとまりごとの評価規準例」を示し、各学校がそれを一から作る必要を減らす方向が示されています。
塾指導では、次の3つが重要になります。
小学校で触れた英語を、中学校で読める・書ける英語に接続すること
語彙・文法を、実際の読解・作文・発話に結び付けること
AIを使って、添削・発話・反復・自己調整学習の量を増やすこと
特に重要なのは、「先取り」よりも「接続」と「定着」です。
よくある疑問
学習指導要領の英語はいつから変わりますか?
今回の資料は、次期学習指導要領に向けた取りまとめ案です。現時点で最終的な実施時期や内容が確定したわけではありません。この記事では、2030年前後の学習指導要領改訂に向けた方向性として整理しています。
学習指導要領の英語は、もう改訂されたのですか?
今回の資料は、外国語ワーキンググループの取りまとめ案です。最終的な学習指導要領の告示ではありません。ただし、次期改訂の方向性を知るうえで重要な資料です。
中学校英語の変更点は何ですか?
大きな論点は、語彙・文法の精選、小学校英語との接続、話題や活動の難易度の見直しです。中学英語が単純に簡単になるというより、子どもが使える形で英語を身につけるために、何を優先して教えるかを整理し直す方向です。
高校英語の変更点は何ですか?
高校では、英語力が高い生徒について、必履修科目の免除・振替が論点になっています。必要な英語力はCEFR B2レベル相当以上とする方向が示されています。ただし、英語を学ばなくてよいという話ではなく、発展的な英語学習や英語以外の外国語、大学の授業などに学びを広げる考え方です。
学習指導要領で英語の単語数はどうなりますか?
今回の資料では、語彙選定のための基盤語彙リストを作成し、語彙の難易度や使用頻度を踏まえて、指導すべき語彙数を精選を含めて見直す方向が示されています。単語数だけを見るのではなく、どの語彙を確実に使えるようにするかが重要になります。
中学英語は今後、簡単になるのですか?
簡単になるというより、語彙・文法を精選し、難易度を適正化する方向です。英語で伝える力や発信力は引き続き重視されます。
AIがあるなら英語を学ばなくてもよいのですか?
いいえ。今回の資料は、AI時代だからこそ英語を学ぶ意味を再定義する方向です。AIを使って終わりではなく、自分の考えを持ち、相手に伝え、AIの出力を判断する力が重要になります。
学習塾は何を準備すべきですか?
中学準備、小中接続、語彙・文法の定着、英作文・発話練習、AIを活用した反復と添削の仕組みづくりが重要です。
まとめ
今回の外国語WG取りまとめ案を一言でまとめるなら、2030年前後の英語教育は「難化」ではなく、「設計の見直し」に向かっていると言えます。
英語を何のために学ぶのか。
小学校で触れた英語を、中学校でどう読める・書ける英語に接続するのか。
語彙や文法を、どう精選し、使える知識にしていくのか。
AIを、答えを出す道具ではなく、練習量とフィードバックを増やす道具としてどう使うのか。
これらが、次期学習指導要領の英語を見るうえで重要な論点です。
教育関係者としては、今後の正式な答申や学習指導要領告示を待つだけでなく、今の段階から「中1英語の接続」「語彙・文法の定着」「AIを使った英語学習の設計」を考えておく必要があります。
参考資料
文部科学省「教育課程部会 外国語ワーキンググループ(第13回) 配付資料」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/108/siryo/mext_00013.html文部科学省「外国語WG取りまとめ案」
https://www.mext.go.jp/content/20260618-mxt_kyoiku01-000050382_3.pdfReseEd「次期学習指導要領、外国語にAI活用を明記…基盤語彙リストも作成へ」
https://reseed.resemom.jp/article/2026/06/18/13494.html
この記事は塾にどう効くか
中学英語でつまずく生徒への説明材料になります。小学校で音声中心に学んだあと、中学で急に文字と文法が来る。この段差が制度側でも問題視されています。
塾の役割としては、この段差を埋める指導そのものが価値になります。
保護者への説明材料になるか
使えます。「うちの子は英語が苦手で」と言われたときに、本人の資質ではなく小中の接続の問題である可能性を示せると、保護者の受け止めが変わります。
AI翻訳がある時代になぜ英語を学ぶのか、という問いも保護者から出やすくなっています。記事の前半がそのまま答えの材料になります。
指導・カリキュラムへの影響
中1の入り口の設計に直結します。小学校で何をどこまでやってきたかを確認してから始める運用にしておくと、つまずきを早く拾えます。
文法か会話かという二択ではなく、両方を行き来させる方向が示されています。文法をやってから会話、という順番に固定していると、方向とはずれます。
発信のネタとして使えるか
使えます。「中学 英語 ついていけない」は保護者の検索が多く、しかも切実な語です。
自塾で書くなら、制度の解説より「中1の最初の3か月で何をするか」という具体的な指導方針を書くほうが、問い合わせにつながります。
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