2026年夏、進学塾enaが小学6年生・中学3年生を対象に実施した「34泊35日」の夏期必勝合宿が注目を集めました。報道では費用は約80万円、1日の勉強時間は13時間とされています。

期間と金額だけを見ると、賛成か反対かをすぐに決めたくなるテーマです。しかし、保護者が本当に知りたいのは、子どもがどこで生活し、どのような日程で学び、体調不良や「帰りたい」という気持ちにどう対応してもらえるのかではないでしょうか。

この記事では、enaの公式サイト、2026年夏期必勝合宿パンフレット、参加同意書、学究社の公表資料を中心に、ほかの塾の公式情報や厚生労働省の睡眠指針も照合しました。確認できた事実と、公開資料だけでは分からない点を分けて整理します。情報は2026年9月2日時点です。

この内容を動画でも解説しています。
YouTubeで見る|34泊35日のena受験合宿を検証
調査概要
調査対象
enaの合宿と、小学生・中学受験生向け宿泊合宿
調査期間
2024年〜2026年の公開情報
調査方法
塾公式サイト、公式パンフレット、参加同意書、運営会社の公表資料、報道、厚生労働省資料を照合
調査主体
スマ塾編集部(2026年9月2日確認)

enaの34泊35日合宿とは、どのようなコースですか?

2026年は34泊35日、22泊23日、10泊11日の3コースです。最長のAコースは7月21日から8月24日まで、授業255時間と案内されています。

ena 2026年夏期必勝合宿の3コース
コース期間日程授業時間
A34泊35日7月21日〜8月24日255時間
B22泊23日8月2日〜8月24日179時間
C10泊11日公式カレンダー参照85時間

出典:ena「2026 小6・中3夏期必勝合宿」。対象は小学6年生・中学3年生。

公式WebはAコースの授業を255時間、パンフレットは「約260時間」と案内しています。Aコースには2日のリフレッシュデイがあり、カレー作り、花火、星空観察なども予定されています。

ena夏期必勝合宿の3コースと授業時間。Aは34泊35日255時間、Bは22泊23日179時間、Cは10泊11日85時間
最長コースは夏休みのほぼ全期間にあたります。公式情報をもとに編集部で整理。

ena合宿の1日は、どのようなスケジュールですか?

朝7時の起床から夜11時の就寝までです。午前9時から午後8時までの9コマに、朝と夜の復習・自習を組み合わせます。

  • 7:00 起床・散歩
  • 7:30ごろ 朝の復習・自習
  • 9:00〜20:00 9コマの授業(食事時間を含む)
  • 20:00以降 復習タイム
  • 22:30 就寝準備
  • 23:00 就寝

enaは授業外にも毎日約3時間の復習時間を設けています。スマートフォン、タブレット、ゲーム機器の持ち込み・使用は禁止です。学校の宿題は隙間時間やリフレッシュデイの前後に行う想定で、生活の大半が塾の管理下に置かれます。

集中できる環境は大きなメリットになり得ます。一方で、生活リズムや自由時間まで含めて、その子に合うかを事前に考える必要があります。

ena公式パンフレットに掲載された午前7時から午後11時までの1日のスケジュール
ena公式パンフレットに掲載された1日のスケジュール。授業9コマの前後に復習時間があります。

ena合宿はどこで行われ、子どもはどこで生活しますか?

山梨県北杜市の清里合宿場と、静岡県御殿場市・小山町の富士山合宿場です。いずれも塾が所有する専用施設です。

清里の5施設は合計約2万4,000坪、富士山の3施設は合計約2万7,000坪です。

  • 清里合宿場:山梨県北杜市高根町清里3545-1、八ヶ岳学校寮地区内
  • 富士山合宿場1号館:静岡県駿東郡小山町須走397
  • 富士山合宿場2号館:静岡県御殿場市柴怒田747-3
  • 富士山合宿場3号館:静岡県駿東郡小山町一色2065-56

2026年は清里6号館を新設し、約300人分の収容力を追加しました。学究社の発表では、合宿場全体の最大宿泊能力は約2,000人です。ただし、34泊コースの小学6年生がどの建物に何人ずつ滞在したかは、一般公開資料からは確認できませんでした。

enaの清里合宿場と富士山合宿場の所在地と規模を示す図
清里は山梨県北杜市、富士山合宿場は静岡県御殿場市・小山町にあります。公式情報をもとに編集部で整理。

ena合宿では、どのような安全管理が案内されていますか?

男女の就寝エリア分離、職員の夜間巡回、体調不良時の保護者連絡、アレルギー対応などが、参加同意書と公式パンフレットに明記されています。

  • 男子と女子の就寝部屋を分ける
  • 就寝時も部屋のドアを開放し、職員が廊下を巡回する
  • 体調不良時は保護者へ連絡し、途中帰宅となる場合がある
  • アレルギー情報を食事提供業者と共有し、除去食・代替食を用意する
  • 全教室を開放したまま授業し、本部職員が巡回する
  • 保護者向けにネット授業参観と写真サイトを用意する

一方、参加者数に対する職員の配置人数、医師・看護職の常駐有無、2026年の途中離脱者数、子どもが直接相談できる独立した窓口は公開資料では確認できませんでした。「書かれていない」ことは「実施していない」ことと同じではありません。申込前に直接確認したい項目です。

ena公式パンフレットの安全を守るための10か条
ena公式パンフレットは「安全を守るための10か条」を掲載しています。

ena合宿の費用はいくらで、どれくらい人気がありますか?

34泊35日コースは報道で約80万円です。ただし、一般公開されたenaの公式資料では料金表そのものを確認できなかったため、本記事では個別の金額を公式価格として断定しません。

朝日新聞社会部の告知では、2026年の参加者は次の通りです。

2026年ena夏期必勝合宿の参加者数(報道)
コース参加者数
34泊35日約100人
22泊23日約500人
10泊11日約1,200人

出典:朝日新聞社会部の告知。22泊以上の長期合宿参加者は前年の2倍と報じられましたが、34泊コース単独の前年比ではありません。

金額を単純に割ると約80万円は1日あたり約2万2,900円、255授業時間あたり約3,100円です。ただし、宿泊、食事、施設、生活管理を含むため、通常授業の時間単価とはそのまま比較できません。

中学受験の勉強合宿はenaだけの取り組みですか?

enaだけではありません。2泊3日から6泊7日の小学生向け合宿が複数あり、少人数・個別型では20日を超える例も確認できました。

小学生・中学受験生向け宿泊合宿の比較
塾・年度対象期間公式公開料金主な特徴
ena・2026小6・中3最長34泊35日一般公開資料では未確認大規模・一斉授業、255時間
一ツ橋進学塾・2026小学生〜浪人生公式表記21日間未公開少人数・個別、探究、部分参加相談可
国大セミナー・2026中学受験部 小66泊7日138,000円2,800分以上、1クラス12人程度
英心うえの塾・2026小5・小62泊3日未確認討論、作文、フィールドワーク
THE義塾・2025小6受験生4泊5日未確認志賀高原で実施
早稲田アカデミー・前回実績小4・小5など3泊4日約10万円前後学力別編成、テスト、表彰

2026年9月2日までに確認できた一般公開情報による比較。全国すべての塾を網羅した統計ではありません。

したがって、「enaだけが長期合宿をしている」とは言えません。ただし、今回確認できた大手・準大手の事例と比べると、enaの34泊35日は期間、参加規模、総授業時間で突出しています。比べるべきなのは日数だけではなく、学習内容、休息、本人が選べる余地、途中で調整できる仕組みです。

国大セミナー、早稲田アカデミー、英心うえの塾にも小学生向け合宿があることを示す図
宿泊合宿そのものはenaだけではありません。期間や設計は塾ごとに異なります。

34泊35日なら、成績や合格率は上がりますか?

255時間の授業は確認できますが、34泊・22泊・10泊・通塾のみを比較した成績の伸びや合格率は、一般公開資料では確認できません。

公開資料から確認できるのは、毎日の復習、生活管理、参加した生徒の感想、2025年の22泊23日コースの完走実績までです。

したがって、「255時間学ぶ環境がある」は事実ですが、「34泊だから合格率が上がる」「精神力や自立心が大幅に向上する」とまでは言えません。参加者の肯定的な体験談は参考になりますが、比較群を置いた効果測定とは分けて見る必要があります。

合宿の価値は、時間数だけでも測れません。同じ255時間でも、弱点に合う授業なのか、理解度に応じて調整できるのか、合宿後に自分で学び続けられるのかで意味は変わります。

255時間の授業は確認できる一方で比較成績や合格率は未確認と示す図
学習量と効果測定は分けて見る必要があります。

小学6年生の睡眠時間は足りていますか?

公式日程では寝床にいる時間は最大8時間です。厚生労働省が小学生に示す9〜12時間の目安より、下限で1時間短い設定です。

公式スケジュールは23時就寝、7時起床です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、小学生に9〜12時間、中学・高校生に8〜10時間の睡眠を推奨しています。

つまり、小学6年生の合宿日程は推奨下限より1時間短い設定です。これだけで危険と断定はできませんが、実際に眠るまでの時間、昼間の眠気、体調に応じて休めるか、リフレッシュデイに睡眠を補うのかは確認したいところです。

「何時間勉強するか」だけでなく、「35日間、どのように眠り、食べ、休むか」までが長期合宿の商品設計です。

ena合宿の最大8時間と厚生労働省の小学生9から12時間の睡眠目安を比較する図
就寝から起床までの設定時間と、実際の睡眠時間は同じとは限りません。

ena合宿に行かない選択は、受験で不利になりますか?

合宿に参加しなかった子どもが受験で不利になると判断できる比較データは、一般公開資料では確認できません。周囲ではなく、本人の目的と学び方に合うかで判断すべきです。

私は中学受験を経験しました。毎週のクラス分けテストや合宿のなかで、勉強が「新しいことを知るもの」ではなく、「やらされるもの」「詰め込まれるもの」になってしまった時期があります。小学5、6年生になると、ここまで続けたからやめられない、親の期待に応えたい、という気持ちも重なりました。合宿中に泣いて親へ電話した記憶もあります。

だからこそ、34泊35日という長さだけで賛成・反対を決めたいとは思いません。子ども自身が目的を持ち、「この学校を目指したい。そのためにこの夏を頑張りたい」と考えているなら、大きな経験になる可能性があります。

一方、親の希望だけで参加させ、子どもの負担や意思を確認しないなら、合格のために学ぶ意欲そのものを削ってしまうかもしれません。勉強の本質は、偏差値を上げることだけではなく、新しいことを知り、できることを増やし、見える世界を広げることです。合宿後にもその気持ちが残るかを、合格実績と同じくらい大切にしたいと思います。

受験合宿を申し込む前に、親子で何を確認すべきですか?

本人の目的、睡眠と健康、学習方法との相性、途中の相談手順、合格以外の成功という5項目を、親子と塾で共有することが重要です。

  1. 本人の目的:子どもが、なぜ受験し、なぜ合宿に参加したいのかを自分の言葉で話せるか
  2. 睡眠と体調:実際の睡眠時間、休める条件、医療・看護、夜間の対応はどうなっているか
  3. 学習方法との相性:集団授業と復習中心の255時間が、その子の弱点と学び方に合うか
  4. 帰宅・相談の手順:途中でしんどくなったとき、誰に相談でき、休止や帰宅をどう判断するか
  5. 合格以外の成功:できること、知ること、自分で学ぶ力など、何が残れば成功と考えるか

参加する場合も、行かない場合も、親子で「途中で選び直してよい」と共有しておくことが大切です。ここまで受験を続けたからやめられない、周囲が参加するから断れない、という状態は、本人が望んでいることとは限りません。

受験合宿の参加前に確認したい本人の目的、睡眠、学習相性、相談手順、合格以外の成功の5項目
参加条件だけでなく、途中でやめる選択肢も親子で共有します。

塾は受験合宿をどう説明すべきですか?

「限界突破」「長時間」「合格実績」だけでなく、どの子に合い、どの子には別の選択肢があるのかまで説明する必要があります。

合宿を勧めるなら、授業時間だけでなく、休息、相談、本人の選択、途中離脱、帰宅後のフォローを一つの商品として示すことが必要です。参加しない子ども向けに、通塾、自宅学習、個別指導などの代替プランも用意できれば、「参加しないと取り残される」という不安を減らせます。

また、効果を伝えるときは、体験談と比較データを分けるべきです。「参加者の声」は価値ある情報ですが、参加しなかった同程度の学力層と比べた結果ではありません。確認できる事実と期待される効果を分けて説明することが、長期的な信頼につながります。

まとめ

enaの2026年夏期必勝合宿は、最長34泊35日、授業255時間、1日13時間の集中学習を掲げた大規模な受験合宿です。費用は報道で約80万円、会場は山梨県の清里と静岡県の富士山周辺にある専用施設です。

公式資料では、安全管理やアレルギー対応、リフレッシュデイなどが案内されています。一方、職員配置、医療職の常駐、本人意思の確認方法、34泊コースの成績・合格率への効果は一般公開資料だけでは分かりません。

問いは「高いか、長いか」だけではありません。合宿後の子どもに、やらされないと勉強できない感覚が残るのか、それとも、新しいことを知るのは面白い、自分でも学べるという感覚が残るのか。その違いを生む条件を、申し込む前に親子と塾で確認することが重要です。

参考資料

この記事の整理・表は引用いただけます。引用の際は、本ページのURLと、各表・本文に記載した一次資料を明記してください。 出典:スマ塾「ena合宿は34泊35日・約80万円|費用・場所・効果を公式資料で検証」https://smart-juku.syuni.jp/news/ena-34day-exam-camp.html

この記事は塾にどう効くか

合宿を一律に勧める、または否定する材料ではありません。子どもの目的と学び方に合うか、睡眠・相談・途中帰宅の仕組みがあるかを、時間数や合格実績と同じ重さで確認するための材料です。

塾側は、参加しない家庭にも通塾・自宅学習・個別指導などの代替プランを示し、『行かないと不利になる』という不安を減らす必要があります。

保護者への説明材料になるか

なります。保護者が知りたいのは、金額の妥当性だけではありません。どこで生活するのか、実際に何時間眠れるのか、体調不良や『帰りたい』という訴えにどう対応するのかを具体的に説明できると、賛否から本人との相性を考える面談に切り替えられます。

面談では、本人の目的、睡眠と体調、学習方法との相性、帰宅・相談の手順、合格以外の成功という5項目を使えます。『周りも行くから』だけで決めないための確認表にしてください。

指導・カリキュラムへの影響

授業時間を増やすだけで成果が決まるわけではありません。理解度に応じた調整、休息、振り返り、合宿後も自分で学べるようにする支援まで含めて設計する必要があります。

合宿を実施しない塾にも関係します。夏期講習の提案時に、学習時間だけでなく、生徒本人が選べる余地と、進捗を見える化する方法を示せれば、宿泊型とは別の価値を説明できます。

発信のネタとして使えるか

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