近畿大学情報学部が、2027年度の総合型選抜で生成AIの活用を認める方針を明らかにしました。

ただし、近畿大学のすべての入試でChatGPTなどが自由に使えるようになったわけではありません。対象は情報学部の総合型選抜で、認められるのは自己PR動画の制作やプレゼンテーションの準備です。

このニュースで重要なのは、AIを使ったかどうかではなく、受験生本人がAIをどう使い、出力をどう判断し、自分の考えとして説明できるかが問われ始めたことです。制度の範囲と、学校・塾で必要になる指導を整理します。

近畿大学の校舎を背景に大学入試でのAI利用を伝えるEdu-NEWS解説画像

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近畿大学の総合型選抜で何が変わるのか

近畿大学は2026年7月24日、情報学部の2027年度総合型選抜で生成AIを活用できることを公表しました。

利用が認められる場面は、主に次の2つです。

  • 第1次審査で提出する自己PR動画の制作
  • 第2次審査で行うプレゼンテーションの準備

大学が活用例として挙げているのは、アイデア出し、構成の検討、スライド作成です。生成AIを使った経験や、使う際に工夫したこと、そこから得た学びを自己PRに生かすこともできます。

一方、試験当日の口頭試問やプレゼンテーション中にAIを操作できる、あるいは志望理由書や提出物をAIに任せてよい、という発表ではありません。

生成AIは試験中の解答ではなく自己PR動画とプレゼンテーションの準備で活用できることを示す図

対象は近畿大学の全学部・全入試なのか

対象は、近畿大学情報学部の2027年度総合型選抜です。近畿大学の全学部・全方式に共通する方針ではありません。

募集人員は30人以内です。第1次審査では、志望理由書、活動報告書、自己PR動画などが使われます。第2次審査では、プレゼンテーション、口頭試問、出願書類を総合して評価します。

出願期間は2026年9月1日から9月12日まで。第2次審査は2026年10月24日にオンラインで実施される予定です。実際に出願する場合は、必ず大学の最新の入試要項を確認してください。

AIを使えば評価が上がるのか

AIを使ったという事実だけで評価が上がるわけではありません。

近畿大学が重視すると示しているのは、受験生自身の能力、思考、独自性です。つまり、きれいな文章やスライドを作ることだけでは不十分です。

例えば、次のような点が本人の言葉で説明できるかが重要になります。

  • 何を課題として設定したのか
  • AIにどのような問いを投げたのか
  • 出力のどこを採用し、どこを修正したのか
  • 情報が正しいかをどう確かめたのか
  • 最終的に自分は何を考えたのか

AIの出力をそのまま提出するのではなく、思考の途中で使い、自分で検証し、組み直すことが求められます。

志望理由書をAIで作ってもよいのか

今回の発表から、「志望理由書をAIに丸投げしてよい」と読み取ることはできません。

志望理由書の下書きや表現の見直しにAIを使う場面は今後増えるでしょう。しかし、体験していない出来事を補わせたり、本人には説明できない志望動機を作らせたりすれば、口頭試問で整合性が崩れます。

志望理由書でAIを使う場合も、少なくとも次の順番が必要です。

  1. 本人が経験・関心・進学理由を言葉にする
  2. AIには論点整理や質問役をさせる
  3. 事実関係と大学・学部情報を一次資料で確認する
  4. 本人の言葉へ書き直す
  5. 面接で根拠まで説明できるか確認する

AIチェッカーで機械的に判定することより、本人に問い返し、思考の過程と提出物が一致しているかを確かめる方が本質的です。

なぜ大学入試でAI利用を認める動きが出ているのか

生成AIは、進学後の学びや社会での仕事でも使われる道具になりつつあります。禁止するだけでは、必要な活用力や判断力を育てにくいという現実があります。

文部科学省は、大学入試における生成AIの扱いについて、各大学が教育方針と整合するルールを作り、募集要項などで示すことを期待しています。大学によって方針が異なるため、「AI利用は一律に可」「一律に不可」とは言えません。

慶應義塾大学SFCも、AO入試で生成AIを学びを深める補助的な道具として使うことは可能としています。一方で、AIが作ったものを受験生独自の成果物とはみなさないと明示しています。

今後は、AIを禁止するか認めるかだけでなく、利用できる場面、申告方法、評価の仕方を大学ごとに確認する必要があります。

学校や塾の総合型選抜対策はどう変わるのか

学校や塾に必要なのは、AIにうまい文章を書かせる技術だけを教えることではありません。本人の思考を深め、出力を検証し、説明できる状態まで伴走することです。

指導では、次の4点を記録しておくとよいでしょう。

1.最初の考えを残す

AIを使う前に、本人が何を伝えたいのかをメモや音声で残します。最初の考えがなければ、AIの文章に本人が引っ張られやすくなります。

2.AIへの質問と回答を残す

どんな問いを投げ、どんな回答が出たのかを記録します。重要なのは長いプロンプトを作ることではなく、問いを改善する過程です。

3.採用・不採用の理由を言語化する

AIの提案を全部採用せず、「なぜ使うのか」「なぜ使わないのか」を本人に説明させます。ここに判断力と独自性が表れます。

4.口頭試問で確かめる

提出物について、具体例、根拠、反対意見、別の選択肢を質問します。本人が自分の言葉で答えられれば、AIは思考を補助する道具として機能しています。

プレゼンテーションと口頭試問で受験生本人の思考過程を確認するポイントをまとめた図

保護者は何を確認すればよいのか

保護者は、完成した文章がうまいかどうかだけを見る必要はありません。次の3点を本人に聞いてみてください。

  • AIを使う前は、どう考えていたのか
  • AIの回答を見て、何を変えたのか
  • その内容を自分の体験と結び付けて説明できるか

答えられない場合は、AIの使用そのものを責めるのではなく、本人の考えに戻って整理し直すことが大切です。

まとめ

近畿大学情報学部の2027年度総合型選抜では、自己PR動画の制作とプレゼンテーションの準備で生成AIの活用が認められます。

ただし、AIが作ったものをそのまま評価する制度ではありません。問われるのは、受験生本人の能力、思考、独自性です。

大学入試でAIを使う場面が増えるほど、学校や塾には「使わせない指導」だけでなく、問いを立てる、事実を確かめる、出力を選ぶ、自分の言葉で説明する力を育てる指導が必要になります。出願時は大学・学部・入試方式ごとの最新ルールを確認してください。

参考資料

この記事は塾にどう効くか

総合型選抜対策で、AIを一律禁止するだけでは対応できない段階に入ったことを示すニュースです。大学・学部・方式ごとの利用ルールを確認し、本人の制作過程まで指導する必要があります。

AIが作った完成品ではなく、問いの立て方、情報確認、採否の判断、本人の説明を評価できる練習に切り替える材料になります。

保護者への説明材料になるか

使えます。ただし『大学入試でAIが全面解禁された』とは伝えず、近畿大学情報学部の特定方式・準備場面に限ることを先に説明してください。

面談では、AIを使ったかを責めるのではなく、使う前の考え、回答をどう変えたか、自分の体験と結び付けて説明できるかを確認するよう勧められます。

指導・カリキュラムへの影響

志望理由書や自己PRの指導では、初稿、AIへの質問、出力、修正理由を残し、最後に口頭試問で整合性を確かめる工程を入れます。

AIチェッカーの判定に依存せず、具体例、根拠、反対意見を本人へ問い返すことが、丸投げを防ぎ思考を深める指導になります。

発信のネタとして使えるか

使えます。『AIは使ってよいのか』という不安への回答と、自塾で確認している制作過程を具体的に示す記事や保護者向けLINEにできます。

大学ごとに方針が異なるため、発信時には対象学部・年度・入試方式と公式要項へのリンクを必ずセットにしてください。

塾のホームページ、今のままで大丈夫か診断します

制度の変化を保護者に伝える場としても、ホームページは使えます。スマホ表示・問い合わせ導線・情報の鮮度を、塾専門の視点で無料チェックします。

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